天草製作所のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
本日は、お客様よりお預かりした**1984年製の米軍サービスシューズ(Service Shoes, Dress)**をご紹介いたします。
まだ修理には入っておりませんが、その希少性と美しさから、まずは現状の魅力を共有させていただきます。
米軍サービスシューズとは?
「サービスシューズ」は、アメリカ軍が式典・儀礼用として着用する正装用の革靴です。
プレーントゥのシンプルなデザインながら、洗練されたバランス、頑丈な作り、美しい光沢を兼ね備えており、まさに機能美の結晶とも言える一足です。
製法はグッドイヤーウェルト、アッパーは堅牢なブラックレザーで、軍用靴とは思えないほど高い完成度を誇ります。
DLAとは?軍用靴に記された「信頼の証」
今回の一足のライニングには「DLA100-84-C-XXXX」といったスタンプが確認できます。
これは**「DLA番号(Defense Logistics Agency コントラクトナンバー)」と呼ばれ、米国防総省の物資調達機関であるDLA(国防兵站局)**が、契約・納品を管理していたことを示す証です。
▼ DLAの役割
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米軍に必要な装備品(靴、制服、工具、機械部品など)を一括管理・調達する政府機関
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契約ごとに「DLA+数字」で始まる管理番号を割り当てる
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番号から契約年度や発注ロットを読み解くことが可能
この番号があることで、当時の正規軍用支給品であることが証明されると同時に、靴の製造年や背景を特定する重要な手がかりになります。
今回の修理内容(予定)
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ハーフラバー(半張り)
→ 革底の摩耗を防ぎ、耐滑性を向上 -
ヴィンテージスチール装着
→ つま先に金属補強を施し、耐久性とヴィンテージ感を強化
見た目の美しさと機能性を両立する、現代的なアップデートを施していく予定です。
天草製作所よりひと言
軍靴には、その時代ごとの技術・思想・美意識が色濃く反映されています。
今回のようなDLAスタンプ付きの一足に触れることで、靴という存在が単なる道具ではなく、歴史と文化を伝える媒体であることを再認識させられます。
仕上がり後の様子も、あらためてご紹介いたしますので、どうぞ楽しみにお待ちください。
天草製作所では、DLAスタンプのあるヴィンテージミリタリーシューズや、旧軍支給品の修理・補強にも対応しております。
一足一足の背景を大切にしながら、現代にふさわしい形で蘇らせることを使命としています。
お持ちの方は、どうぞお気軽にご相談くださいませ。